重要事項説明の方法
重要事項説明は、売買・交換・貸借の契約前に必ず行わなければなりません。
購入・借入予定者に対して購入物件にかかわる重要事項の説明をします。売主への交付・説明義務はありません。
重要事項説明は、宅地建物取引士が内容を記載した書面に記名押印し、その書面を交付した上で、口頭で説明を行います。説明・記名押印をするのは、宅建士でなければなりませんが、専任の宅建士であるか否かは問いません。
宅建業者が売主となる契約で、他の宅建業者が媒介・代理をした場合は、売主業者と媒介・代理業者の両方が、説明義務を負うことになります。この場合でも、売主業者の宅建士と媒介・代理業者の宅建士が同じ説明を繰り返して行う必要はありません。どちらかの宅建士が代表して1回説明すればよいことになっています。ただし、重要事項説明書面には、両方の宅建士の記名押印が必要です。
重要事項説明をする場所については、特に制限はありません。
下記のような説明事項がありますので、大体2時間以上かかります。パンフレットやチラシ・広告と違っていないか、自分の希望通りの家が建つのか・・等々説明を聞きながらわからないところがあればどんどん質問しましょう。まあ、一般の方には結構難しい用語や法律が出てきますが、途中で嫌にならずにしっかりと聞いてください。
重要事項の説明の内容
重要事項として説明するべき内容は多岐にわたります。まず、対象となる宅地または建物に直接関係する事項を見ていきましょう。
⑴対象となる宅地または建物に直接関係する事項
①当該宅地・建物上に存ずる登記された権利の種類・内容・登記名義人等
②法令に基づく制限に関する事項の概要:契約内容の別に応じて法令で定められており、すべての法令に基づく制限について説明が必要なわけではありません。たとえば、建物の貸借の場合には、建築基準法に規定する容積率・建ぺい率に関する制限などは説明する必要がありません。
③私道に関する負担に関する事項(建物の貸借の場合を除く)
④飲用水・電気・ガスの供給や排水のための施設の整備の状況(整備されていない場合は、その整備の見通し・整備についての特別の負担に関する事項)
⑤工事完了時における形状・構造等(未完成物件の場合に限る):宅地の場合、工事完了時における当該宅地に接する道路の構造・幅員、建物の場合、工事完了時の当該建物の主要構造部・内装・外装の構造・仕上げ、設備の設置・構造をいいます。なお、説明に図面を必要とするときは、図面を交付して説明しなければなりません。
⑥当該宅地・建物が造成宅地防災区域内にあるときは、その旨
⑦当該宅地・建物が土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨
⑧当該宅地・建物が津波災害警戒区域内にあるときは、その旨
⑨当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容
⑩当該建物(昭和56年6月1日以降に新築工事に着手したものを除く)が一定の耐震診断を受けたものであるときは、その内容
⑪当該建物が住宅性能評価をうけた新築住宅であるときは、その旨(売買・交換の場合に限る)
⑵取引に関する事項
①代金・交換差金・借賃以外に教授される金銭の額・教授目的
①は代金・交換差金・借賃「以外」に授受させる金銭であり、代金・交換差金・借賃そのものは説明事項に含まれていないことに注意してください。
②解約の解除に関する事項
③損害賠償額の予定・違約金に関する事項
④手付金等を受領しようとする場合における、保全措置の概要(売買の場合に限る)
⑤支払金・預り金を受領しようとする場合において、保全措置を講ずるかどうか、保全措置を講ずる場合におけるその措置の概要
⑥代金・交換差金・に関する金銭の貸借のあっせん内容・当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置(売買・交換の場合に限る)
⑦当該宅地・建物の瑕疵担保責任の履行に関し保証保険契約の締結等の措置を講ずるかどうか、講ずる場合における措置の概要(売買・交換の場合に限る)
⑦において説明事項となっているのは、瑕疵担保責任そのものではなく、保証保険契約の締結等の措置に関してです。
⑧割賦販売に関する事項(現金販売価格、割賦販売価格、宅地・建物の引渡しまでに支払う金銭の額・支払い時期・支払方法、賦払金の額・支払時期・支払方法)
⑧は割賦販売を行う場合にのみ説明が必要となる事項です。
⑶区分所有建物の場合に加わる説明事項
区分所有建物(マンション)の場合、下記の内容が説明事項に加わります。ただし、貸借の場合は③と⑧のみです。
①当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類・内容:マンションの敷地に関する権利の種類・内容のことで、所有権であることが通常ですが、借地権等のこともあります。
②共有部分に関する規約の定め(案を含む)があるときは、その内容:たとえば、「最上階は居住者の共用のラウンジにする」というような定めのことです。
③専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(案を含む)があるときは、その内容:たとえば、「ピアノ禁止、ペット不可」とか、「住宅のみに使用し、事務所として使用してはならない」というような定めのことです。貸借の場合も説明事項です。
④当該一棟の建物またはその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約を定め(案を含む)があるときは、その内容:駐車場・バルコニー・専用庭などの専用使用権の定めです。
⑤当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規定の定め(案を含む)があるときは、その内容:維持修繕の費用等は区分所有者が共同で負担するのが原則です。ところが、マンションの規約やその案に「売れ残りの住戸がある場合でも、売主である分譲業者(=売れ残りの住戸の所有者)は修繕費等を負担しない」旨が定められている場合があります。そのような規約(案)は購入者にとって不利(売主である分譲業者に有利)な定めなので、説明事項となります。
⑥当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定め(案を含む)があるときは、その内容・すでに積み立てられている額:マンションでは、計画的な維持修繕が必要です。そのための費用の積立てに関する事項です。
⑦当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額:マンションの管理費の額です。
⑧当該一棟の建物およびその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号・名称)・住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地):マンションの管理会社の名称等のことです。貸借の場合も説明事項です。
⑨当該一棟の建物の建物修繕の実施状況が記録されているときは、その内容:今までになされた維持修繕の内容です。
⑷貸借の場合に加わる説明事項
次は、貸借契約の場合に必要となる説明事項ですが、宅地の貸借の場合は②~⑦、建物の貸借の場合は①~⑥がそれぞれ説明事項となります。
①台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況:上記の設備の有無や、ユニットバスか独立の浴室かなどの形式、エアコンの使用の可否などのことです。建物の貸借における説明事項です。
②契約期間・契約の更新に関する事項:契約期間や更新時の賃料の改定方法などです。②から⑥までは、宅地・建物の貸借に共通の説明事項です。
③定期借地権・定期建物賃貸借・終身建物賃貸借の場合は、その旨:「定期借地権・定期建物賃貸借」とは、更新のない借地権・建物賃貸借のことです。この場合、借り手は期間が満了したら立ち退かなければなりません。そこで、後からトラブルにならないように、そのような借地権・建物賃貸借であることの説明が義務付けられているのです。
④当該宅地・建物の用途その他の利用の制限に関する事項:「ピアノ禁止・ペット不可」とか、「住宅のみに使用し、事務所として使用してはならない」というような定めのことです。なお、区分所有建物においては、「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(案を含む)があるときは、その内容」が、売買・交換・貸借のいずれの場合も説明事項とされています。
⑤敷金その他契約終了時において精算することとされいる金銭の精算に関する事項:敷金・保証金等の精算に関する事項です。
⑥当該宅地・建物の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号・名称)・住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地):宅地や建物の管理が委託されている場合の管理会社の名称等です。なお、区分所有建物においては、「当該一棟の建物およびその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号・名称)・住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)」が、売買・交換・貸借のいずれかの場合も説明事項とされています。
⑦契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容:定期借地権では、賃貸借終了時に借地上の建物を取壊すことが予定されています。そのことに関する事項です。宅地の貸借における説明事項です。
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